各流派合同新春舞踊大会の最優秀賞に花柳楽彩と若柳杏子の2人

2019.03.22

日本舞踊

花柳楽彩と若柳杏子(右)花柳楽彩と若柳杏子(右)

   若手舞踊家の登竜門と言われる今年の各流派合同新春舞踊大会の各賞がこのほど発表された。最高賞の最優秀賞には花柳楽彩(らくあや)と若柳杏子(きょうこ)が選ばれた。2人の素顔を紹介する。

   花柳楽彩は清元で素踊りの代表曲とも言われる「梅の春」を踊り、受賞した。この曲が好きで、同大会に初出演した3年前にも披露した演目だったが、今回は本番の1週間前に「演目を替えようか」と迷ったこともあり、「(受賞は)信じられなかった。思わず絶叫してしまいました」と振り返る。

   母親が日本舞踊をやってこともあり、6歳から日本舞踊を始めたが、しばらくは日本舞踊よりも宝塚歌劇に関心があったという。本格的に日本舞踊を目指すことになったのは、先代花柳寿楽が振り付けた宝塚歌劇の作品を観劇した見たことがきっかけ。高校卒業と同時に大阪から上京して寿楽の内弟子に入り、亡くなるまでの16年間仕えた。「晩年の師匠は布団の中でも振付を考えていました。本当に勉強になりました」という。

   将来は日本舞踊の表現者としての活躍もさりながら「教える立場の指導者に軸を据えたい」と明言する。すでに自らの舞踊教室を開き、大東文化大学、学習院女子中高等科日舞部、よみうりカルチャー恵比寿などで指導に当たっている。

   一方若柳杏子は、清元「北洲」で受賞に輝いた。同舞踊大会には3年前から出演し、今回が3度目の正直となった。「大学(日大芸術学部)時代から、いつかは出たいと思っていた舞踊大会。師匠をはじめ支えてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいです」と率直に喜びを語る。

   この演目を選んだのは師匠の若柳公子の勧めだったが、格調高く、様々な人物の踊り分けが難しい作品。師匠は「目に見えない息とか間を考え、自然体で踊りなさい」とアドバイスしてくれたという。やはり6歳から日本舞踊を習い始めたが、東京新聞主催の「全国舞踊コンクール」(71回大会)で第1位に輝いた実績もあり、早くから将来を期待されていた。目標は「舞踊家として何でもできるようになることと同時に日本舞踊でしっかり食べていけるようになること」と力強い。今年から教えることにも挑戦するという。

   4月13日の同流の定期舞踊公演出演も決まっている。

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著者情報 / Author info

真壁聖一 Makabe Seiichi

1946年 宮城県仙台市生まれ。東北福祉大学卒業。中日新聞東京本社(東京新聞)で、一般芸能、伝統芸能を担当する。2017年3月退社後、フリージャーナリストへ。舞踊批評家協会員。