尺八と私(尺八演奏家 舛田路山)

2018.01.06

邦楽

舛田路山舛田路山

   祖母・母が箏弾き(生田流箏曲 絃愛会主宰)で、初代・二代山本邦山先生と関わりがあった為、私は幼少より箏に触れつつ、自然な形で“三曲”の音色に親しんで育ちました。

   十一歳で「尺八を習いたい」と二代邦山先生に師事したその時から、お寺の住職であった今は亡き祖父より「本物に触れなさい」と、とびきり価値のある楽器を揃えてもらいました。習おうと思うきっかけは、新しいおもちゃを求めるような、気軽な感覚でした。本物の楽器を手にして気軽に扱えない重圧の中、そのお陰で十代の私は切磋琢磨してこられたように思います。

   成人式の日、祖父から“律呂調陽”と筆で書かれた色紙を貰いました。律呂は 音楽を、調陽は世界の調整を指し、「あなたの音楽で世界中を照らしなさい」という言葉を残して、祖父はその年に亡くなりました。

   その年は、試験を通して都山流尺八楽会より師範の職格を頂き、名取になった年でした。当時は大学生で、日本大学芸術学部で初めて洋楽を学び、和声の世界を知りました。ピアノやオーケストラとの演奏経験を経て、しかし西洋的な音の重なり・響きの研究というよりは、尺八そのものの音色・三曲らしい響きを深く意識するようになりました。五孔尺八が持つ機能性、その音色の魅力を、いかに分かりやすく世界に発信できるかを、二十代の私は試行錯誤してきたように思います。

   今年二月で三十歳になる、二十代最後の年。試行錯誤の集大成という心持ちで、初めて箏・尺八の二重奏曲を作曲、初演させて頂きました。「花雀(あとり)」という曲名で、より広く方々で聴いて頂けるよう、曲はYouTubeにアップロードされています。http://urx.blue/GUhi

   また昨年度より都山流尺八楽会の関東支部役員と、日本三曲協会の研修運営委員を仰せつかりました。三十代では多くの方に都山流尺八、ひいては三曲の魅力を伝え、普及に貢献できるよう精進して参ります。

舛田 路山

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著者情報 / Author info

真壁聖一 Makabe Seiichi

1946年 宮城県仙台市生まれ。東北福祉大学卒業。中日新聞東京本社(東京新聞)で、一般芸能、伝統芸能を担当する。2017年3月退社後、フリージャーナリストへ。舞踊批評家協会員。