八丈太鼓と私(日本舞踊家花柳歌七郎)

2017.11.15

日本舞踊

日本舞踊家花柳歌七郎花柳歌七郎

   ここ数年、三味線などを使った邦楽ではなく、八丈島の太鼓で踊っています。決まった楽譜のない八丈島の太鼓は、各自が自由に叩くのが伝統です。八丈島の太鼓の名手・石井秀さんは、私の動きを見ながら即興で演奏してくれます。(太鼓を「奏でる」と言って良いのかは分かりませんが)。タイミングを外してしまうと目も当てられませんが、ピシャツと決まった時の快感は何とも言えません。

   石井さんには日本舞踊だけでなく、バレエやヒップホップ、剣術演武、鼓、バイオリンなど様々な組み合わせで太鼓を叩いてもらっています。国内だけでなく、イタリアのベネチア、ドイツのミュンヘンなどでも舞台を務め、今年の2月14日には、台湾の花連県吉安郷で、一昨年に続いて2度目の公演を行いました。出演者は石井さんと僕、北辰一流兵法千葉道場6代目宗家・大塚洋一郎さん、バレエの蒲田深雪さん、ヒップホップの後藤甘奈さん、そして八丈島の檜之哉さんと之波さん、之舞樹さんの3人は黄八丈を着て日本舞踊を披露しました。

   一座は「日本鼓声舞剣団」と名乗り、団長はこのブログの主人真壁聖一さんです。

   地元・吉安郷からは先住民族である阿美族の方々を始め、太鼓や踊り、歌など、子どもから大人まで多くの出演者が参加しました。総勢50人を超す文化交流の場になりました。この公演の模様は台湾のテレビや新聞でも紹介されました。ちなみに石井さんの夫人・愛雲さんは吉安郷の出身で、ご家族は阿美族です。公演に関しては、吉安郷の郷長・黄馨さんと公所(役場)の方々、そして阿美族の皆さんに多大な協力を頂きました。

   真壁さんは団長として舞台に上がり、一座を代表して挨拶し、阿美族から友好の証として民族衣装の頭冠などを授与されました。開演前には阿美族の代表者と杯を交わす儀式が行われましたが、下戸の真壁さんは阿美族の配慮でノンアルコールの杯で許してもらいました。急ぎ足の公演でしたが、日本の文化を紹介して友好を深めるという意味ではソコソコの役割を果たしたのではないかと思っています。

   日本舞踊、八丈太鼓、剣術、黄八丈は日本の伝統芸能に根差しています。バレエやヒップホップ、ギターの弾き語りは日本古来のものではありませんが、今では立派に日本に根を張っています。伝統を大切にする一方で、他分野との競演によって新たな可能性を見出したい。目の前にあって自分にできる事の全てを行動に移したい。今そんな気持ちが募っています。

花柳 歌七郎

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著者情報 / Author info

真壁聖一 Makabe Seiichi

1946年 宮城県仙台市生まれ。東北福祉大学卒業。中日新聞東京本社(東京新聞)で、一般芸能、伝統芸能を担当する。2017年3月退社後、フリージャーナリストへ。舞踊批評家協会員。