女流義太夫にニューフェイス竹本考之資デビュー

2024.03.07

邦楽

竹本 孝之資

   女流義太夫演奏会三月公演が三月二十日午後一時半から、東京・紀尾井小ホールで開かれるが、これに太夫としては八年ぶりとなる新星が登場する。「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」「木遣音頭の段」で鶴澤津賀榮の三味線で、浄瑠璃を語る竹本孝之資だ。

   東京芸大出身。東音の三味線方として活動していたが、平成九年に義太夫協会十月公演で竹本駒之助の浄瑠璃、鶴澤津賀寿の三味線による「阿古屋」を聞いて「こんな世界があったのか」と驚き、「自分もやってみようと」と一瞬で決めた。翌年、竹本越孝の教室に通い、浄瑠璃を勉強した。三味線でなく、浄瑠璃を選んだ理由は「ただただ浄瑠璃に魅せられたからだ」という。

   初舞台に当たっては女流義太夫特有の出口上で彼女の門出を祝うことが決まっている。孝之資は「ようやくスタートラインに付くことが出来ました。これからも長唄三味線をやりながら義太夫浄瑠璃を勉強していきたい」と決意を新たにしている。

著者情報 / Author info

真壁聖一 Makabe Seiichi

1946年 宮城県仙台市生まれ。東北福祉大学卒業。中日新聞東京本社(東京新聞)で、一般芸能、伝統芸能を担当する。2017年3月退社後、フリージャーナリストへ。舞踊批評家協会員。